Y子さんの10年引きこもり体験から学ぶ、不登校 見守りの危険性

一般社団法人不登校・ひきこもり予防協会の代表、杉浦孝宣です。

多くのご家庭が、不登校や引きこもりの子どもを「見守る」ことで問題が解決すると思いがちですが、実際にはその見守りが「放置」となり、問題を深刻化させるケースが少なくありません。今回は、10年間引きこもったY子さんの事例から、見守りの落とし穴と、そこから抜け出すために必要な支援について掘り下げます。

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見守りが放置につながる理由

不登校や引きこもりの子どもにとって、「見守る」という親の姿勢は一見優しさのように感じられます。しかし、以下のような要素が重なることで、結果的に「放置」となってしまうことがあります。

  • 親とのコミュニケーションが途絶える:話しかけても無反応が続くと、親の方が声をかけるのをためらいがちになります。
  • 日常生活のリズムが崩れる:夜中に起きてゲームや動画に没頭し、昼間は眠って過ごすなど、社会生活からどんどん遠ざかってしまいます。
  • 自己肯定感が低下する:やる気が出ず、何もできない自分を責めてしまう悪循環に陥ります。

Y子さんの10年引きこもり体験から学ぶ、不登校 見守りの危険性

Y子さんは中学2年生から不登校のまま中学を卒業後,引きこもり生活に入りました。ご両親は「そのうち本人が気づいて動き出すだろう」と考え、無理に介入せず「見守る」姿勢を取り続けました。しかしその間に生活リズムは完全に昼夜逆転、外出はゼロ、人との接点も無くなってしまいました。

10年という長い時間が過ぎたある日、Y子さんは「親知らずの痛み」をきっかけに歯科医院に行くことになります。その外出が、彼女の大きな転機となりました。久々に外の世界に触れたY子さんは、「このままではいけない」と心を入れ替え、当会が提携する通信制高校サポート校に入学。学び直しの環境で自信を取り戻し、無事に高校を卒業しました。

その後、保育士の資格を取得するために短期大学へと進学し、現在では東京都23区内の区役所で保育士として活躍しています。10年の引きこもり生活を経た彼女がここまで立ち直れたのは、専門的な支援と「今、動くべきだ」というタイミングを逃さなかったからです。

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