通信制高校卒業後の現実とは?引きこもりを防ぐ5つの具体策

はじめに

「通信制高校に通っているけれど、この先どうなるのか不安……」 「卒業しても引きこもってしまったらどうしよう……」

こうした不安を抱える保護者の方が、年々増えています。通信制高校の在籍者数は年々増加し、2024年度には過去最多となる29万87人を記録しました。これは、全高校生の約11人に1人が通信制高校を選択しているという計算になります。

私は、一般社団法人不登校・引きこもり予防協会の代表理事として、40年以上にわたり1万人以上の子どもたちと向き合ってきました。
通信制高校という選択は、適切な支援があれば「再スタート」の大きなチャンスとなります。しかし、支援がなければ、逆に引きこもりを深刻化させてしまう危険性もあるのです。

この記事では、通信制高校の最新データを踏まえながら、卒業後の現実と引きこもり予防のための5つの具体策を紹介します。

目次

通信制高校の現状と急増する生徒数【2024年最新】

最新データの概要

  • 2024年度の通信制高校在籍者数:29万87人(過去最多)
  • 全高校生の約11人に1人が通信制高校生
  • 学校数:全国で289校(私立224校、公立79校)

このように通信制高校は、今や誰にとっても「特別ではない進路」の一つになっています。柔軟な学習スタイル、ネット学習の普及、多様な背景を持つ生徒への対応などが評価され、年々入学者が増加しています。

しかし、ここには見過ごせない課題もあるのです。

増加の背景

通信制高校の人気は高まっている一方で、実は全日制高校の生徒数は減少傾向にあります。少子化が進む中で、相対的に通信制高校の比率が上がっているとも言えるでしょう。

また、発達特性を持つ生徒や、不登校経験者にとって「通学の負担が少ない」「自由に学べる」通信制高校は、大きな救いになっていることも確かです。

通信制高校の実態:選択が引きこもりリスクになることも

N高等学校の例に見るメリットとデメリット

N高等学校(学校法人角川ドワンゴ学園)は、日本最大の生徒数を誇るネット型通信制高校です。時代に即した学び方として注目されています。

メリット:

  • 柔軟なカリキュラム
  • オンライン完結型の学習スタイル
  • 個別メンタリング制度あり
  • デジタルスキルや教養を習得できる

デメリット:

  • 対面授業や社会経験が不足
  • 自己管理が求められる
  • 学費が高め(私立のため)

通信制高校が抱える根本的な課題

通信制高校は「自由」な反面、サポート体制が十分でない場合、以下のような問題が起こりやすくなります:

  • 昼夜逆転、孤立
  • 社会との接点が極端に少ない
  • 無気力化、進路未定のまま卒業

【実例】通信制高校から引きこもりへ:W君のケース

中学時代に不登校を経験したW君は、ネットで学べる通信制高校に魅力を感じて入学しました。

しかし、自由な環境に適応できず、次第に昼夜逆転、引きこもりが悪化。最終的には8ヶ月間ほぼ外出しない生活が続きました。

当会と面談を重ねた後、学生寮併設のサポート校へ転校。生活習慣の立て直し、人間関係の再構築を経て、W君は自信を取り戻していきます。

その後、防衛大学の一次試験に合格、自衛隊入隊という進路を歩み出しました。彼のような事例は少なくありません。

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